おそらく建設当時から、今に至るまでのスパンで考えても希少価値の高いモザイクタイルの部分を残し、他の部分は白くすることで、シンプルな空間の中で銭湯の歴史を感じることができるように空間を整えた。 その中に、新しく銭湯を感じることができる要素や酒屋をモチーフにした要素をちりばめた。もとの脱衣所部分は脱衣所らしくスノコのデザインをし、カウンターをデザイン。また、酒屋のシンボルとして、オーナーが運営しているバーで出た空き瓶を使用したインゴマウラーシャンデリアを製作。元浴室部分においては、浴槽を素材を変えて再現した。水をモチーフにレジン（エポキシ樹脂）をしようし、水面の造形を表現した。また、男湯と女湯の堺に入っていたガラスブロックを再利用し、空間に合わせてベンチを造形した。

これから、物販以外でもギャラリーやイベントスペースとしても活用したいとのことから、フレキシブルな対応ができるよう、浴室部分の家具は簡単に移動可能なものを製作した。様々な時代の変化や業態の変化に対応できる空間でありながら、お店のコンセプトも内包するニュートラルな場を設計した。